2018年6月、イタリアでジュゼッペ・コンテ首相率いる新政権が誕生しました。
今回新しく発足した政権は、移民や難民に厳しい見方をしており、EUに対して懐疑的とも言われていて、イタリアの今後の行方が注目されています。
今後、イタリアがEUから離脱する可能性はあるのでしょうか?
万が一離脱した場合、私たち日本人にはどのような影響があるのでしょうか?
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イタリアでEU懐疑派政権が誕生ーその背景は?
イタリアでは2018年3月から、政党連立の組み合わせをめぐり、3ヶ月もの間、政治的空白が続いていました。
EUで4番目の経済規模を誇るイタリアでの政治的空白により、世界経済も混迷し、金融市場も不安定な動きが続いていました。
イタリアで3ヶ月続いた政治的空白の理由
イタリアで3月4日に行われた総選挙で、五つ星運動政党が約30%の得票率で勝利し、イタリア同盟政党は、同選挙で約20%の得票を得ました。
この2つの政党は連立政権樹立を計画し、それまで政治にほとんど縁のなかったジュゼッペ・コンテ氏を次期首相候補に選出。
これを受けてコンテ氏は、5月28日に新内閣の閣僚リストをマッタレッラ大統領に提出しました。
ところが、マッタレッラ大統領は、ユーロ懐疑派のサボーナ氏を経済相とする案を却下としました。
これにより、コンテ氏は組閣を断念、それに反発した両党は議会にマッタレッラ大統領の弾劾を要求しました。
大統領は国際通貨基金(IMF)の元エコノミスト、カルロ・コッタレッリ氏に、新選挙が実施されるまでの暫定で官僚主導の内閣を組閣するよう要請し、3ヶ月もの間、政治的空白が続くこととなったのです。
5月31日、コンテ氏が再び大統領と会談し、新たな閣僚リストを提出。
マッタレッラ大統領がこれを受理、コンテ氏を次期首相として指名したことにより、同国で数カ月続いた政治的空白がようやく幕引きとなりました。
今回誕生したした連立政権は、EU懐疑派で、排外主義の台頭に脅かされるEU域内の結束力揺るがす要因として、世界各国から懸念材料とされています。
ユーロ圏で3番目の経済大国であるイタリアで、EUに批判的な両党による政権の樹立は、英国の離脱に揺れるEUに深刻な影響を与えかねません。
連立政権がこれまえに掲げてきた政策には、以下のような内容があります。
- EU予算への拠出削減または停止
- 欧州の条約見直し
- EU法よりもイタリアの憲法を優先
- イタリアに大量に流入している不法移民の取り締まりを強化
- 失業者らへの最低所得保障
一方、マッタレラ大統領は以下のように主張し、これを絶対目標に掲げています。
「イタリアはEU参加国にとどまり、さらなる欧州統一に取り組まねばならない」
イタリアの新首相にコンテ氏が就任!どんな人?
今回、新政権の首相となったジュゼッペ・コンテ氏(無所属)は、1964年8月8日生まれ、イタリア フィレンツェ大学で私法を教える法学教授です。
ローマでは法律事務所も開いてており、行政法の専門家として知られています。
一方、政界での知名度は低いようです。
5月には、学歴誇張の疑いがあることが報じられています。
コンテ氏は、政治や組織運営の経験のない新首相ということで、手腕は未知数、どのように政権を運営していくのかが注目されています。
今回、新たに樹立した連立与党へも影響力がなく、非常に弱いリーダーになることも懸念されています。
コンテ氏は首相指名後、記者団に以下のように決意を語っています。
「EUや他国との対話を通じてイタリア人の利益を守る。労を惜しまず最大限の責任を持って首相になる用意ができている」
>>次のページでは、イタリアがEUから離脱したら場合の日本への影響についてまとめています。